長崎は今日も・・・④最終回
長崎話も今回で最終話です。いろいろな方に支えてもらって今があるとあらためて思います。
もう年末も近いですね。
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(つづき)
泥酔の頭で「ここでボラれるのかも。」と思ったが、もうどうでもよかった。女の子たちを相手に水割りを煽り、さんざんお酒を飲まし馬鹿話をした。2セットぐらいでもう話すネタもなくなり、お勘定をしてもらおうと黒服を呼ぶと「お連れの方から頂いております」とのこと。これにはびっくりした。さらに「お連れの方がお待ちです」とその黒服に案内され細い路地を通り、もうどこだかわからないスナックに入ると、先ほどの常連さんがスナックのママを相手に飲んでいるところだった。
僕は2軒目の店のお代を何度も払おうとしたのだが、「よかけんよかけん、それより飲まんね」と決して相手にされなかった。そして「お前はまだ若い。まだこれからぞ」と何度も言われた。
そのスナックからどうやってホテルまで帰ってきたかは覚えていない。どうやらその店でも、もう飲めなくなるまで水割りを飲みながら今度はママを相手に同じ話を繰り返していたらしいことは、二日酔いの濁った頭でもところどころ思い出した。ここでも僕はお金を払わなかったらしい。せめて後日お礼を言いたくて名刺をもらったはずなのに、名刺入れにも財布にもどこにも見当たらなかった。それでも、またこの街に来ればいつか会えてお礼を言える気がした。
2年後、税理士に合格した。それからも何度も長崎に遊びに行った。それまでと違うのは友人と一緒だったり大切な人と一緒だったりすることが多くなったということ。何度かその時の常連さんと出会ったすし屋に行こうかと思ったのだが、結局一度も訪れたことはない。偶然にこの街の酒場のどこかで出会えた方が面白い気がするし、きっとそんな時が来ると思うからこれからも遊びにいくのだ。(おわり)
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