2013年04月15日
僕とギターの物語 東海楽器製CAT’S EYE②
今ではフォークギターを習って弾きたがる若い子がたくさんいるので意外に思うかもしれないが、僕の高校当時はバンドブームの全盛期。ほとんどの男子高校生はまず最初にエレキギターを買って弾くのが相場であり、アコギを弾くなんていうやつはほぼ皆無に等しかった。
なので夏休み明けに、はじめてこのギターを担いで学校にいった日はどきどきした。アコギはボディーがでかいので持っているだけで目立つし、そもそも「主役」ではないフツーの生徒の僕なんかがギターを学校に持っていくなんてことはすごい冒険なことであり場違いな気がした。途中で同級生の女子が怪訝な顔をして僕と背中のギターを見た(様な気がした)のでいたたまれなくなった。学校に着くと教室にギターを持って入るのが恥ずかしくて、先に物理部の部室にギターを放り込んでから教室に向かったっけ。
そうしてその放課後、部室で初めて本多といもちゃんを相手に僕のギターで僕の伴奏で、覚えたてのコードを駆使して歌を歌ったのだ。そう、弾き語りというやつ。
「うえのぉはつのぉ やこぉれぇしゃ おりたとぉきからぁ・・・」
教則本の課題曲の1つ目の曲が石川さゆりの「津軽海峡冬景色」だった。コードがAm、Dm、E7のたった3つだけで弾ける歌なので、ビギナー向きに最高の歌だった。狭い部室だけど情感たっぷりに弾き歌った。もちろんコードのポジションチェンジも覚束ない手つきだったので上手とはいえない内容だ。けど、終わると
「おまえ、めちゃめちゃカッコいいやんけ。」
「ぬけがけしたな。ずるいわ。俺にも教えてくれ」
たった2人だけの初ライブで同じへたくそどもの最高の賞賛。これ以上ない気分だった。こうして3人での部室でのギター練習の日々が始まったのだ。“たまり場でギターの練習”というだけで、なにやら不良の人になったみたいで気分良かった。ガキは背伸びして大人になっていくのだ。
しかし、僕が次に覚えた曲はさだまさし「精霊ながし」、いもちゃんの覚えた曲は村下幸蔵「初恋」、本多が覚えたのがフォーククルセターズ「あのすばらしい愛をもう一度」。いい歌だけど全然カッコいいといわれる歌ではないものばっかりである。“流行の歌は歌わない”、それが僕らのこだわりだったし「主役」達へのひそかな抵抗だった気がする。
この“CAT’S EYE”は確か3万円ぐらいで買ったギターというだけあって、とても薄っぺらな音がした。今は安物でもそれなりの音がするやつもあるのだが、当時はギターの音の良さは値段に正確に比例した。もっとも薄っぺらな音だとわかったのは買ってから何年もしてからだったし、当時はこれで十分満足だった。
どこに行くのもこのギターを持っていった。2年生の夏休みに友達みんなで丹後の海に泳ぎに行ったときも、冬にスキーで信州に行ったときも、スキー板と一緒に担いでいってゲレンデにも持っていった。気分は若大将だ。大学になってからも九州10日間雨降りっぱなし旅行に持って行ったし、大学院のときも仲間達と日生の海岸でバーベキューしたときも持っていった。
僕と一番一緒に旅したギターである。

久しぶりにライブの告知を・・・
満員御礼!!
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